WEEKLY / AIラボ
2026-10-12〜2026-10-16|量子計算の「魔法状態」、AIエージェントの隔離環境、ニュースAIの提携拡大
GoogleとPerplexityの発表を、確認できた数字と提供元の主張に分けて読みます。
公式発表や研究を、確認できた範囲に分けて読む回です。今週は、量子コンピューターの研究成果、AIエージェント向けの隔離環境のオープンソース化、ニュース記事を使うAI機能の提携拡大の3件を取り上げます。
1|Google、量子計算に欠かせない「魔法状態」を作る手法を実機で示す
Googleの量子AIチームは10月15日、「魔法状態(マジックステート)」を作る「マジックステート・カルティベーション」という手法が、同社の量子プロセッサー「Willow」で機能したと発表しました。成果は科学誌Scienceに掲載されたとしています。出典:Google(10月15日)
魔法状態は、誤りを訂正しながら動く量子コンピューターが、あらゆる計算をこなすために必要な特別な状態です。Googleは、その生成が大きなボトルネック(作業の詰まる箇所)になっていると説明し、量子コンピューターの能力の最大95%が魔法状態の生成に使われるという見積もりもある、と紹介しています。手法の理論は、同社の研究者らが2024年に提案したものです。
確認できた数字 Googleによると、この手法を使うと、使わない場合に比べて誤りがおよそ40分の1に減りました。T状態と呼ばれる魔法状態で、論理的な忠実度(どれだけ正確に作れたか)99.99%の記録を出したとしています。
読むときの注意 数字はGoogle自身の説明です。99.99%は、この実験で作った特定の状態についての値で、量子コンピューター全体の正確さを示すものではありません。チームは、実用にはより大きな規模での実証が必要で、「技術的な課題はまだ多い」としています。
今後の観測点 より大きな規模で同じ効果が出るか、ほかの研究機関が再現できるか。
2|Perplexity、AIエージェント用の隔離環境「SPACE」をオープンソースに
Perplexityは10月15日、同社のAIエージェント製品「Computer」の裏側で使っている隔離環境(サンドボックス)の基盤「SPACE」をオープンソースにしたと発表しました。サンドボックスは、AIが書いたコードなどを、ほかの環境から切り離して安全に動かすための仕組みです。同社によると、SPACEは7月に商用のサンドボックス事業者から切り替えたもので、サンドボックスごとに専用のOSを持つ小さな仮想マシンを動かします。サンドボックスの中は信頼しない前提で、ネットワークへの接続や認証情報は外側で管理し、作業環境に認証情報を置かずに許可されたサービスへ接続できる、としています。出典:Perplexity(10月15日)
確認できた数字 同社によると、SPACEは7月以降すべての「Computer」のセッションを支え、1日に数百万回のサンドボックスを作っています。同じ本番の通信量での比較では、サンドボックスの作成が以前の事業者より3〜5倍速くなりました。安全性の試験では、仮想マシンから外へ抜け出す試み108回はすべて失敗しました。一方で、ネットワークの制限をすり抜けた試みもあり、同社はその弱点を修正したとしています。リポジトリーのライセンスはApache-2.0です。出典:GitHub
読むときの注意 安全性の結果は、Perplexity自身の試験によるもので、第三者による検証は示されていません。
今後の観測点 外部の開発者が使い始めたときに、同じ安全性と速さが保たれるか。第三者の監査や検証が出るか。
3|Google、ニュースAIの試験プログラムの参加媒体が400を超える
Googleは10月15日、報道機関に対価を払って記事などの提供を受け、新しいAI機能の開発に使う「News AI」の試験プログラムに、世界で400を超える媒体が参加していると発表しました。昨年、ワシントン・ポストなどと始めたプログラムです。試している機能の例として、Googleニュースの媒体ページで記事の背景を詳しく示す概要や、聞き手に合わせて作る音声のニュースまとめを挙げています。いずれも出典の表示と元記事へのリンクを付けるとしています。出典:Google(10月15日)
確認できなかったこと 支払いの金額、参加している国の一覧、契約の期間や条件は、発表に書かれていませんでした。読者にとっての利点の説明は、Google自身の見方です。
今後の観測点 対象の国や機能が広がるか、日本の媒体が加わるか、元記事への訪問が実際に増えるかを示すデータが出るか。
出典は2026年10月16日(日本時間)に確認しました。
本稿はAIが候補を選び、本文の草稿を作成したものを、運営者が最終確認して掲載しています。
本号は2026-10-16時点の情報で構成しています。事実関係の訂正はお問い合わせからお知らせください。